タスクシュートは時間の筆算
計算には「暗算」と「筆算」があります。
「暗算」は、頭の中だけで計算を行うので速いです。
でも、間違いに気づいたときにどこで計算ミスをしたのかを辿るすべがありません。
結果、最初から計算し直すしかありません。
一方、「筆算」であれば、間違いに気づいたときに、計算過程を辿ることで、どこで計算ミスをしたのかを特定することができます。
再発防止策を見つける手がかりが含まれる記録が副産物的に生成されるわけです。
計算過程を見返すことで「ここはもっと良い計算方法がある」といった改善案が思い浮かぶこともあります。
似たような計算を繰り返しているなら「この計算は時間があるときにまとめてやっておけばラクができる」といった発見が得られることもあります。
暗算と筆算の違いは、「やることリスト」を使うか、タスクシュートを使うかの違いです。
「やることリスト」は時間の暗算
「やることリスト」は、言ってみれば時間の暗算で、毎日その日にやることを白紙の紙に書き出します(コンピュータ上のファイルにリストアップしても同様です)。
この紙を見ながら仕事を進めていくことになります。
もしかしたら、「やることリスト」さえ作らないかもしれません。
その場合は、とにかく発生した仕事をその場でどんどんこなしていくことになります。
電話やメールで「仕事」を見つけるたびに、あるいは自席にやってきた人から口頭で指示を受けるたびに、動くのです。
タスクシュートは時間の筆算
一方、タスクシュートは、最初こそ「白紙」から始まりますが、翌日からは少なくとも前日にやったことはすでにデイリーリストに書かれていますから、残りを埋めるだけで済みます。
続けるうちに、「ここはもっと良いやり方がある」とか「このタスクは時間があるときにまとめてやっておけばラクができる」といった発見をもとに、どんどん改善を加えることができます。
“暗算”で仕事をした方がスピードは「速く」なります。
一方、“筆算”で仕事をするとスピードは遅くなりますが、続けるほどに「早く」帰れるようになります。
※本記事は「タスクシュート・ジャーナル」の転載記事です。